正午は中央市場へ!フラウエン教会の仕掛け時計で中世の歴史を感じよう!

ゲルマン国立博物館を訪問し大興奮の一日を終えた無鉄砲姉妹は翌日、旧市街地の本格的な観光を開始した!まずは中央市場(Hauptmarkt)に聳え立つ美しいゴシック教会、フラウエン教会(Frauenkirche)を観光だ!

ニュルンベルクのフラウエン教会(Frauenkirche)

中央市場に聳える教会

ニュルンベルクの旧市街地には、とにかくたくさんの教会がある。約5kmの市壁に囲まれた旧市街地のなかには大小多数の美しい教会が建っているが、その中でも聖ゼーバルト教会、聖ローレンツ教会そしてこのフラウエン教会の3つは絶対におさえるべき、最重要な教会だ。

中央市場というのは、中世都市において非常に重要な意味を持った。中世ヨーロッパ都市の基本三要素は「市壁」「教会」「市場」であるといわれるほどだ。中央市場に建てられている教会ともなると、言ってみればその都市のシンボルなのである。

まあ、ニュルンベルクには皇帝の城である「カイザーブルク」という特別な存在があるゆえ、「ニュルンベルクのシンボル」というと、こちらをを思い出すことのほうが多いだろう。

とはいえ、ニュルンベルクを世界的に有名にしているイベント、つまりドイツ3大クリスマスマーケットの1つであり、「世界一有名なクリスマスマーケット」の異名をもつ、クリストキントレスマルクト(Der Nürnberger Christkindlesmarkt)がこの中央市場で開催される。

中央市場で開かれている、クリストキントレスマルクト(Der Nürnberger Christkindlesmarkt)の様子。

そしてその「世界一有名なクリスマスマーケット」のオープニングセレモニーがここ、フラウエン教会のバルコニーにて行われるのである、世界に向けたニュルンベルクの顔!といっても過言ではあるまい。

ニュルンベルクのクリスマスマーケット オープニングセレモニーの様子(2017年撮影)

「ニュルンベルクの走る小人」

そんなフラウエン教会をクリスマスマーケットのセレモニー以外で有名にしているのが、「ニュルンベルクの走る小人(Das Nürnberger Männleinlaufen)」という名で知られる、仕掛け時計である。

「走る小人ってなんだ?」と思われることだろうが、この小人とは、カール4世と音楽隊の周りを回るからくり仕掛けの七選帝侯のことだ。

からくりによって、七選帝侯たちがカール4世に挨拶(謁見)するのだが、そのくるくる回る小さな七選帝侯たちを「走る小人」と呼んだわけである。

カール4世と「金印勅書」

そもそも、このフラウエン教会というのは、かの有名なカール4世の「金印勅書」公布を記念して、カール4世自身の主導で1352年から1362年にかけて建設された教会である。

この「金印勅書」という存在──、名前がやたらかっこいいし、言葉自体は聞いたことがある方は多いかもしれないが、結局なんなのといわれると「?」なものかもしれないので、ここで簡単に説明を。

「金印勅書」というのは、皇帝の命令が記され、黄金製の印章が付された公文書のこと。(この黄金製の印章のために「金印勅書」なんてかっこいい名がついている。なお、「黄金文書(おうごんもんじょ)」とも呼ばれるが、こっちもなかなかかっこいいな。ゲームのアイテムっぽい。)

「金印勅書」でもっとも有名なのが、この1356年に神聖ローマ帝国皇帝カール4世が発布したものである。教皇に介入をさせずに、帝国内での政治的な混乱を解決することを目的としており、皇帝選挙に関する手続きの規定および、七選帝侯の地位と権限を確認する内容となっている。

そしてこの「金印勅書」こそが、その後約400年にわたって神聖ローマ帝国の基本的な体制を規定したのだ!!

ちなみに、なぜこれが発布されたことでニュルンベルクにそれを記念する教会が建てられたかというと、この「金印勅書」が発布された帝国議会の開催地がここ、ニュルンベルクだったからである。さすが、皇帝の街、ニュルンベルク!

なお、先ほど出てきた「七選帝侯」というのは皇帝の選挙と帝国の重要事項を討議する特権をもつ諸侯のこと。皇帝の選挙に参加できる、つまりは皇帝を選ぶ権利がある諸侯か。この立ち位置、めちゃくちゃかっこいいなあ!

1356年 カール4世の金印勅書(レプリカ)
カール4世の像

からくり見るなら、正午にGO!

なお、この「ニュルンベルクの走る小人」の仕掛け時計は、ニュルンベルクの有名な観光名所の1つになっているが、からくりが動くのをみられるのは正午の1日1回だけ!

この仕掛け時計が動いているのを生で見たい場合は、しっかりと時間の調整をしながら観光する必要があるわけです。

(なお、観光の際は少し早めに到着してこの教会内部を先に見学したり、中央市場に市が出ているときはそれを見て回ったり、すぐ近くにはお土産物屋さんもあるのでそこでお買い物をするのがお勧めです!)

さて。正午が近づくと、ぞろぞろと人が集まってくる。曜日にもよるが、真正面からしっかり見たい場合、少し前に到着して場所取りしてほうが安全だ。

正午が近づくと、ぞろぞろと人が集まってくる。

ただし、あまり近づきすぎてもよく見えなくなってしまうので注意。カール4世の姿はいつもはっきり見えているので、カール4世がよく見える場所に移動しておきましょう!(広場中央あたりがいいですね!)

近すぎると逆に見えない。

そうしてコスモが撮影した映像がこちら。(iPhoneで撮影。)

画質も天気もあまりよくないうえ、望遠レンズでもないので綺麗に撮れているわけでもないですが、鐘の音や雰囲気などは伝わるのではないでしょうか。

ちなみに、からくりが止まったあと、見ていた人々の中から小さな歓声と拍手が。(動画でも小さいけれど聞こえます。)なんだか一体感があって、素敵でした。

からくりそのものはシンプルですが、金印勅書の街であり皇帝の城を有するニュルンベルクで、この歴史的なワンシーンが毎日正午に繰り返し再現されていると思うと、感動もひとしおですね!

ニュルンベルクにお越しの際は、ぜひ正午に中央広場へ!

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