ニュルンベルクのゲルマン国立博物館は宝の山だから絶対行ってほしい②はこちら。
(前回、前々回に引き続き、ニュルンベルクのゲルマン国立博物館の館内を自由に回った記録です!)
ルター発見!
デューラーの「二皇帝像」に興奮冷めやらぬまま、展示物を見ていくと、ルターがいた。
マルティン・ルター(Martin Luther)、言わずと知れた、宗教改革運動の立役者だ。
コスモは院生時代に「都市宗教改革」を研究していたが、ルターはこの時代のドイツの最最重要人物だったわけで・・・。
実をいえば、わざわざ2017年にドイツに来たのも、宗教改革500周年という記念イヤーにドイツに来たかったという理由がある。
ルター個人に特別思い入れがあるというわけではないのだが、我らが敬愛するデューラーがルターに心酔していたのもあって、彼の存在を無視することなどできまい!
余談だが、ご存じだろうか。マルティン・ルターという名前はドイツ語読みだが、これを英語読みすると、マーティン・ルーサー。
そう、かの有名な公民権運動の指導者、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(Martin Luther King, Jr.)と同じ名前、いや、正確には、キング牧師の父親があえてこの名前に自身と彼の息子であるのちのキング牧師を改名したそうだ。
同じ名前で宗教改革運動と公民権運動のそれそれで有名になるとは・・・「Martin Luther」って、なんかすごいな。
雰囲気がありすぎる一室
さらに進むと、雰囲気がありすぎる部屋を発見。
もう、扉からやたらかっこいい。魔法がかかってそうではないか!
ということで中に入ってみると・・・
なんだここは!?
よくわからない!だが、かっこいい!!(←無鉄砲姉妹あるある)
ステンドグラスのデザインの解説とかそういうものなのかもしれないが、部屋がうす暗く、そこに後ろからライトアップされたプレートが並んでいて、つるつるの机にそれが反射しているのがなんだかミステリアスでいいではないか。
ゲームにはよくあるんだよなあ、こういう空間。
ここにヒントが隠されていて、あとでなにかの手掛かりになったり、順番通りにタップすればもう1つ部屋が現れて・・・
──駄目だ、完全にゲーム脳になってしまっている。
個性的なピアノの脚柱
先の部屋を出ると、また絵画展示ゾーン。
そこに、突如現れたのはこのピアノ。
一見、何の変哲もない、アンティークのおしゃれなピアノだが・・・
よく見ていただきたい、このピアノの脚柱を。
・・・子どもだ。
金色に輝く子どもたちが、頭で支えているのだ。
なんとまあ、個性的なデザイン・・・。
重そうだ。
このピアノを弾くとき、なんとなく申し訳ない気持ちになりそうだ。
秘宝感満載の「聖体顕示台」!
さらに進んで見つけたのは、この秘宝感満載の物体!
真ん中の透明の部分に光を集めると魔法が・・・!的な妄想が始まりそうになるが、これはカトリック教会で行われる聖体賛美式の際に用いられる容器とのこと。
儀式で使うだけあって、豪華絢爛だ。
なお、真ん中の透明なガラス部分は、光を集めて魔法を・・・!ではなく、ここに「聖体」を挟むのだそう。
つまり読んで字の如く、儀式の際に「聖体」を「顕示」するための「台」なのだ。
ラテン語では「ostensorium」というそうで、これはラテン語で「示す」を意味する”ostendere”に由来するそうだ。やはりそのままの意味か。
ちなみにその「聖体(Hostie)」についてだが、聖餐式(ミサ)で「聖別」されたパンとぶどう酒のことを「聖体」というそうで・・・
この「聖別」によって、そのパンとぶどう酒は「聖変化」して、パンはキリストの「聖体」、ぶどう酒はキリストの「聖体血」に変化するという。
で、その「聖体」、つまり聖別されたパンをこの中央のガラスのところに挟んで、儀式のときに顕示するというわけだ。
受難のクリッペ!?
そしてこんなのも発見。
ただやたら豪華なのと、神殿ぽい雰囲気に惹かれて見てみると・・・
「パッションのクリッペ(Passionskrippe)」とある。
「クリッペ」というと、ヨーロッパでクリスマスシーズンなどに見かける、キリスト生誕シーンを再現した、木などでできた人形。
しかしこれはパッションのクリッペ。パッションというと「受難」。
つまり、キリスト生誕のおめでたいシーンではなく、キリストが受難を受けている辛いシーンのクリッペというわけだ。
「受難のクリッペ」・・・初めて知ったが、なかなかなインパクトだ。
かっこよすぎる「科学機器」ゾーン!
そうして辿り着いたここは・・・「科学機器(WISSENSCHAFTLICHE INSTRUMENTE)」ばかりが集められたコーナー!
これがめちゃくちゃかっこいい!
「科学機器」といってももちろん電子機器とかではなく、天体観測に使う「アストロラーベ(Astrolabe)」などの天文機器類や、さまざまな種類の時計などが所せましとならんでいる。
いやもう、かっこよすぎるだろう!!
こういうのに私たちが弱いのをなぜ知っているんだ!?(←自意識過剰も甚だしい)
どうやって使うのかわからないものがほとんどだが、こういうのはとにかく見ているだけで幸せだ。
そういえば、ニュルンベルクは天文学との縁も深い街。
日本に帰国後だが、日本の「印刷博物館」の特別展でも、ニュルンベルクと天文学というコーナーが1つ設けられていたほどだった。
ニュルンベルクは知れば知るほど、奥の深い街だ。
ちなみにこのやたらとかっこいい装置は「Weltmaschine」というそうで、地球、太陽、月、惑星の位置関係をこれで再現できる模様!
これまた、ゲームの世界で出てきそうだ。少しずつ時間を調整して、どこかでカチッと音がすると装置が大きく動き出し──
だめだ、こういう博物館ではどうしてもゲーム脳が優勢になってしまうようだ。
と、そうこうしているうちに閉館時間が来てしまった。
マップなども見ずに適当に館内を歩き回ってしまったせいで、結局部分的にしか見られなかった。
だが・・・!めちゃくちゃ楽しかったー!!
「水曜日は17時30分から入場料無料」ということもわかったので、また時間があるときにのんびり見回ろうと思う、無鉄砲姉妹なのだった。
(展示量が半端ないので、全部見回るなら十分な時間をとるか、時間のない方は見たいものの目星をつけてから、マップ片手に回ることをお勧めします!)