ドイツ入国早々、行き先不明のバスに乗り込み、深夜のミュンヘンでさっそく迷子になってしまった無鉄砲姉妹。無事、ホテルに到着できるのか・・・。
周囲を見渡すと、小さめのバスターミナル的な雰囲気であることと、周辺になんのお店もなさそうなことだけはわかった。
あとわかっているのは、自分たちの携帯電話は使えないので(レンタルWi-Fiなどはもちろん借りてない)、ネットも使えないということ。
おおう。。。
やたら大きな荷物を抱えて、呆然と立ち尽くす無鉄砲姉妹。
「あ!そうだ、タクシーだ!」
やっと思い出した2人。
タクシー・・・。偶然通るのを待つしかないのだろうか。しかし、どこで待てばいいんだ!?そしてそれはいつになるんだ!?
うーん。
「まあ、ここで突っ立ってても仕方ない。少し周辺の様子を見てみようか」
「仕方あるまいね」
2人は大きな荷物を引っ張りながら、少なくとも大きめの通りに出ることにした。
時は6月。全然寒くはない。最悪、野宿か?なんて、馬鹿な考えも頭を過ぎるなか、なんとか通りへ出た。
おお、車はわりと通ってる・・・
ん・・・?
バス停からそれほど離れていないところに車が一台。。。
しかもあの外見は・・・!
タクシーーーー!!!!
さっそく見つかった。
心底、ほっとした2人。
さて、運転手さんはすぐに気づいてくれた。
英語でホテル名を言うと、OK、大丈夫と。
重ーい荷物を一生懸命トランクに載せてくれて、私たちも乗り込み、一安心。
とはいえ。
外国で始めてのタクシーだ。
「タクシーなのは間違いないようだけど、この人、本当に怪しい人じゃないだろうな?」
「日本人だとわかったら、ぼったくられたりしないだろうか」
「それ以前に、ここからミュンヘンのホテルまでって、私たちのこの少ない手持ちのお金で支払える金額なのか・・・!?」
・・・
まあ、いろいろ不安ではあったが、この運転手のおじさん(たぶんトルコ人?)はいい人そうな雰囲気だ。
ひとまずこの人のことを信じてみよう。料金のメーターだけはしーっかり見ておくが。
・・・
走り出したタクシーの車窓から、深夜のドイツの町を見た。暗いのもあってよくは見えないが、メルヘンな世界というよりは、アメリカの映画やドラマでよくみる街並み(の大都会ではないほう)に見えた。
そして、道路沿いにどこまでも続く、どこまでも流れていく電灯を見ていると、不思議ととても安らかな気持ちになった。
そうしてしばらく走り続けて、やがて街中に入っていった。明らかに街の中心地という雰囲気だった。
大きな駅が見えてきて、それからすぐに運転手さんが「このホテルだよ」といった。料金のメーターをみると70€ちょっと。
ネットであらかじめ見てきた空港からのタクシー料金の目安金額も70€だった。
まあ出費自体は大きいけれど、バスに乗って謎の場所に移動したにもかかわらず、予定通りの金額で済んでよかったと一安心。
大荷物のお礼も込めてチップと合わせて75€を支払い、お礼を言うと、彼は微笑みながら去っていったのだった・・・静かな優しい運転手さんだったな。。。
大荷物をひっさげて、私たち2人がホテルに入ると、暗めのフロントに受付の人が。
飛行機の到着時間から遅めの到着になることはわかっていたので、日本にいるうちに深夜チェックインのお願いをメールでしていたから、受付はスムーズだった。
受付の人からの説明は至極簡単で、朝食の時間とWi-fiのことなどをささっと説明されて、あとはキーを渡されて終了!
難しいこと言われなくってよかったー、とほっとする2人だった。
そしてようやく・・・
自分たちの部屋に着いたーーー!!!!!
ああ・・・
この時をどれだけ待ち望んだことか!
なんかもう、ここに到着できただけで感無量。
とにかく一旦、ばたんとベッドに倒れ込んだ。
ベッドに寝転ぶと、日本からここまでの道程がどーっと走馬灯のように思い出されて、どーっと疲れが戻ってくるのを感じた。
そうか、自分では気づいてなかったけど、身体は相当疲れてたんだなあ・・・。
そして、これからのことも少しは考えてみたものの、今はここまでたどり着いたことだけでなんともいいようのない達成感があった。
明日1日はまだミュンヘンにいる予定だ。
ミュンヘンに着いたら一番に、どうしても行きたい場所がある。
もう随分長い間、それを見るのを夢見ていたのだ!!!!!
街中を移動するなら、やっぱりネットを使いたい。そうだ、明日はまずプリペイド式のSIMカードを手に入れなくては。
そうなると、どんな手続きが必要になるんだろう・・・?
私たちの英語力で何とかなるのか?
しかし今は・・・もうこれ以上はなにも考えないでおこう。
だって、やっとベッドに足を伸ばして寝られるのだ!!!!!
私たちは最低限の寝る準備を済ませると、すぐにまた床に着いた。
すっかり疲れ切った身体は、ベッドにずしーんと沈んでいくような感じがしたが、今度はすぐにふわーっと浮いていくような感じになってーーー次の瞬間にはもうすっかり眠り込んでいた。