大きな荷物を引きづりながら、人の波に乗っていくと、比較的簡単にニュルンベルク中央駅の正面玄関に着いた。
ん・・・?やたら警察官がいる。なにかあった・・・?
と、一瞬不安になるも、このあと普通に笑顔で同僚と喋っているのをみて、あ、ただのパトロールか~と一安心。
それにしても、かっこいい駅だ。
ミュンヘンの駅も大きくてかっこよかったが、ニュルンベルクの駅は歴史を感じる荘厳な造りで、駅舎全体も見渡しやすく一層素晴らしい。
建築様式は時代によっていろいろ変えられているらしく、当初はネオゴシック様式だったが、1900年の改築でネオバロック様式に。
また、現在トラベルセンターのあるホールは1904-1905年にかけてアール・ヌーヴォー様式で建築されたとのこと。
その後もちょこちょこ改築されているらしいが、なんにしても歴史ある大変魅力的な駅であることにかわりはない。
流石、 ドイツ・バイエルン州北部で最大の鉄道駅なだけある。
そもそも、地理的に見ればニュルンベルクはヨーロッパのほぼ中心に位置する。
ドイツで最初に鉄道が通った場所であるのも頷ける、この溢れ出る「交通の要所」感。
実際にニュルンベルクが帝国都市として繁栄したのも、この地理的要因が大いに関係しているわけだ。
この駅の立派さ、歴史をひしひしと感じるこの建物の荘厳さには、ニュルンベルク市民の誇りが感じられるようではないか。
そんなふうに感慨深げに駅舎を眺めていると、1人の男性が声をかけてきた。
やたら声が低い。
私たちは顔を見るより先に、すぐにズボンに目をやった。
あ、赤だ。彼だ!彼が家主さんに違いない!
そう、家主さんから前もって、「見つけやすいように赤いズボンを履いていくよ」といわれていたのだ。
そしてゆっくり顔を見あげる。が、顔を認識するまでにやたら時間がかかった気がした。
それもそのはず。だって、身長、高っ!!
いや、彼が特別高いわけではないのだ。しかし、日本人ではあまり見かけない高さなもので・・・。
声の低さと身長に圧倒される、無鉄砲姉妹。
そうでなくても超がつくほど人見知りが激しい私たちは、どきどきしながらご挨拶。
でも笑顔で挨拶してくれたので、ああ、恐い人ではなさそうだ、と一安心。
ご親切にも、初対面で不安だろうからといって、前もって本人や家族の写真もいろいろ送ってくれていたのだが、まあ、本当にそのまんまの感じの人だった。
声がやたら低い以外は。
さて、予め知っていたことだが、家主さんは英語がペラペラだ。
しかし私たちがドイツ語どころか英語もあまり話せないことを先にメールで伝えていたので、簡単な英語でゆーっくりと話してくれた。
そんなわけで、人見知り&英語残念な私たちも、なんとか最低限の意思疎通ができた。
このまま、地下鉄で家まで連れて行ってくれるらしい。
地下鉄・・・!さっそく地下鉄とは、ハードル高いな!
不安げな表情を汲み取ってか、「ついてこれば大丈夫、チケットはこれがあるから」と。
(あとで知ることになるが、これがMobiCardと呼ばれる代物!!これがまた素晴らしいのだが、それは後日。)
おお、なんかめちゃいい人っぽいな!
実はバイエルン・チケットがあるので私たちは地下鉄もチケット不要なのだが、気持ちがとてもありがたかった。。。
歩き始めようとして、私たちの荷物に気づき、「代わりに持つよ」といってくれる。
しかし、やたら重いんだよなあ、これ。と、少し躊躇っていると、また「問題ないよ~」と軽々持ち上げた。
(この「問題ない」、英語で”No problem”, ドイツ語で”Kein Problem” が家主さんの口癖であることを我々はその後知ることとなる)
えー!!あんな重いものを片手で!?
しかも、2つも持ってくれる家主さん。か・・・怪力!!!!
こうして荷物が1つずつに減り、かなり身軽になった私たちは、家主さんに感謝しつつ、これから3ヶ月間お世話になる家主さんのお宅に向かうのだった。