10月31日・・・そうです、今日は言わずと知れたハロウィンの日!
みなさん、ハッピー・ハロウィーン!
さて。
ハロウィングッズは可愛いし、少し妖しげなところも含めて、個人的にはかなり好きなイベントです。
だから今回はドイツ・ワーホリ!からはちょっと離れて、ヨーロッパの文化に親しむという意味で、ハロウィンについてまとめます🎃
ジャコウ?いえ、ジャック・オー・ランタンです!
ハロウィンといえばかぼちゃ!中身をくり抜かれて少し不気味な顔の付いたジャック・オー・ランタン(Jack-o’-Lantern)と不可分のイメージですよね。
実を言うと、私は長いあいだこれを「邪光ランタン」か、もしくは「麝香(ジャコウ)ランタン」だと思っていました。
だってほら、ジャコウアゲハ(麝香揚羽)とかジャコウネズミ(麝香鼠)とかいるし・・・
だからこのランタンもアロマランプ的なものなのかと。。。
でも実際は「麝香」じゃなくてジャック・オー・ランタン、つまり、ジャックのランタン(西洋式提灯)ということなんですね!
(って、みなさんはご存知ですよね 笑)
ちなみに私の中でのジャックは、オズの魔法使いシリーズに登場するかぼちゃ頭のジャック(Jack Pumpkinhead)か、ティム・バートンの「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」のジャックです。
そのジャック・オー・ランタンはもちろんかぼちゃで作るもの!と信じていたのですが、ジャック・オー・ランタンの起源を知ってびっくり!そもそもかぼちゃ🎃で作るものじゃなかったようです!
ジャックとカブのランタン
ここで簡単にハロウィンの主役であるジャックのお話を。
・・・
むかし、ジャックという名の男がおりました。
彼はずる賢くけちんぼで、そのうえ乱暴もののうそつき。
お酒も大好きで、ハロウィンの夜にも散々お酒を飲んで酔っ払っておりました。
そんなジャックのもとに悪魔がやってきます。
悪魔は悪い人間であるジャックの魂を取りに来たのでした。
ジャックは当然ながら、悪魔に魂を取られたくありません。
そこで、ジャックは悪知恵を働かせます。
「なあ、悪魔さんよ。そんなら人生最期の酒を飲ませてくれないか。そのあとは、俺の魂なんざ、お前さんにくれてやるさ。」
悪魔はその願いを聞き入れ、酒代として自分の姿をコインに変えました。
ジャックはそのときを待っていたのです。コインとなった悪魔をすぐさま十字架で押さえつけると、そのまま自分の財布にしまいました。
十字架で身動きのとれない哀れな悪魔は、財布のなかから出してくれとジャックに懇願します。
ジャックはある約束を取り付けて、悪魔を財布から出してやりました。
こうして、悪魔は「向こう10年間はジャックの魂を取らない」ことを約束させられたのでした。
そして約束の10年後、悪魔は再びジャックの前に現れます。
今度こそはと魂を取ろうとする悪魔に、ジャックは言います。
「なあ、悪魔さんよ。そんなら人生最期にあの木になってるりんごを食わせてくれないか。そのあとは、俺の魂なんざ、お前さんにくれてやるさ。」
今度こそ最後だぞと、悪魔はジャックのために、りんごを取りに木に登りはじめました。
ジャックはそのときを待っていたのです。持っていたナイフを取り出すと、ジャックは木の幹にしっかりと十字架を刻み込みました。
またしても、悪魔はジャックの悪知恵によって騙されたのでした。
木から降りれなくなってしまった悪魔は、またジャックに懇願します。
そして再びジャックはある約束を取り付けて、悪魔を木から降ろしてやりました。
そして今後はというと、「2度とジャックの魂を取らない」ことを約束させられたのでした。
哀れな悪魔は2度もジャックに騙されて、逃げるようにジャックの前から去っていきました。
時は過ぎ、寿命が尽きたジャックは、天国へ向かいました。
しかし生前に悪いことばかりしていたため、天国には迎えられないと言われ、門前払い。
そこで仕方なく、ジャックは地獄へと向かいますが、今度はジャックが2度騙したあの悪魔が現れて言いました。
「お前の魂は2度と取らないと約束した。だから、お前を地獄に迎えることはできない」
ジャックは途方にくれました。生き返ることができるはずもなく、かといって、天国にも地獄にも行くことができないのです。
仕方がないのでひとまずジャックは来た道を引き返そうとしましたが、その道は暗く、冷たく、恐ろしく寂しいのです。
ジャックは悪魔にどうか、この道を照らす明かりをくれと懇願しました。
行く場所も帰る場所も失ったジャックを可哀想に思った悪魔は、道端に転がっていたカブをくりぬくと、そこに地獄の炎を灯し、ランタンとしてジャックに与えました。
それからというもの、ジャックは悪魔にもらったランタンを手に、今も死の世界と生の世界の狭間を独りでさまよい続けているのです。
・・・
ジャック・・・お前・・・!!
なんとも寂しい結末ですね。
自業自得なのですが、でも悪知恵が働きすぎたゆえに、これからもずーっと独りぼっち。
とはいえ、悪魔はかなり優しいですね。あんなにジャックに騙されたのに、最後もジャックのためにランタンを作ってやるなんて。
ハロウィンの起源はケルト文化にあり!
物語には諸説あるのですが、大筋はこんな感じで、しかもランタンはかぼちゃじゃなくて「カブ」でした。
そんなわけで今でもスコットランドでは、カブをくりぬいてジャック・オー・ランタンにするそうです。
でもなぜスコットランドだけは、今なお正式なカブをランタンに用いるのでしょう?
それというのも、ハロウィンの起源がアイルランドやスコットランドの周辺のケルト人の文化にあるからなのです。
ケルト人の1年の終わりは10月31日。つまり、ケルト人の大晦日の日がハロウィンの日なのです。
ケルト人にとってこの夜は1年の終わりであるとともに、秋が終わって冬の始まる日。
そして死者の霊が家族を訪ねてくる日であると信じられていました。
ただし、時期を同じくして有害な精霊や魔女たちも出てくるということで、あえて彼らの変装をして彼らに紛れることで身を守ったそうです。
これが今のハロウィンの仮装につながってるんですね!
このケルト文化圏であるスコットランドはハロウィン文化発祥の地だからこそ、今なお正式なカブを使っているのでしょう。
ドイツではハロウィンよりも・・・
ドイツでは、本来ハロウィンを祝う習慣はほかの地域より少なくしか見られませんでした。
それというのも、10月31日がハロウィンとは別の記念日として祝われてきたからなんです。
それは・・・
「宗教改革記念日(Reformationstag)」!!
今から約500年前(1517年)、マルティン・ルターが宗教改革の発端となった95か条の論題を発表したとされる日なのです!
そんなわけで、ドイツでは10月31日は「宗教改革の日」として記憶されており、プロテスタントの強いいくつかの地域では今も休日だったりお祭りをしたりしてお祝いをします。
とくに昨年(2017年)は、宗教改革からちょうど500周年という特別な年だったので、ドイツ各地で宗教改革関連のイベントが行われました。
(でもこの詳細についてはまた改めて…!!)
そんなわけで実際、昨年私たちがニュルンベルクに滞在していたときには、プロテスタントの多い町だからなのかハロウィン色はあまりなく、お店でいくらか関連グッズが売っていた程度。
当日は仮装した人もいましたが、ごく一部の人という印象でした。
それでも地域によっては仮装行列などで盛り上がるところもあるようですし、ドイツ人の友人いわく、若い友達同士では仮装パーティーもするそうです。
日本と同様、ドイツにとってもハロウィンは比較的新しい文化なのでしょう。
昨年は例外的に盛り上がりましたが、宗教改革記念日は若い人たちにとってはあまり関係ないもの、という印象。
アメリカ文化の影響もありますし、ドイツでも10月31日=ハロウィンのイメージがさらに広がっていきそうです。
ちなみにお馴染みの
trick or treat
「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!」
はドイツでは
Süßes oder Saures
「甘いものか、酸っぱいものか!」
になります。
なんだかわかりやすいですね!!
ハロウィンを楽しもう!
このように興味深い歴史をもつハロウィンですが。。。
現在日本では、完全にコスプレのためのイベントと化していますね!
渋谷では逮捕者も出てしまったそう…。
ハロウィンを楽しむのはいいことですが、ほかの人にまで迷惑をかけてしまってはいけませんよね。
ジャックの仮装はいいけれど、内面までジャックになってしまうと・・・
せっかくの楽しいイベントなので、私たちは悪魔に面倒をかけないように、節度をもって、ハロウィンを楽しみましょう!