ニュルンベルクの聖ゼーバルト教会を見学!①

アルブレヒト・デューラー・ハウスをあとにした無鉄砲姉妹が次に向かったのは、ニュルンベルクを代表する三教会、聖ゼーバルト教会、聖ローレンツ教会、フラウエン教会のうちのひとつである、聖ゼーバルト教会だ!

聖ゼーバルト教会外観

聖ゼーバルト教会の歴史

まずは少し、聖ゼーバルト教会の歴史をご紹介!

ゼーバルト教会(St. Sebald)は、ニュルンベルクでもっとも古い教区教会で、聖セバルドゥス教会(Sankt Sebalduskirche)とも呼ばれている。

13世紀に、聖セバルドゥスを祭る教会として後期ロマネスク様式で建造されたが、14世紀には内陣と側廊をゴシック様式に改装しているとのこと。

なお、この聖セバルドゥスというのは8世紀ごろにニュルンベルク周辺で生きていたとされるニュルンベルクの守護聖人。

伝説では11世紀にデンマークの王子として生まれた彼が富と地位を捨て、隠者としてニュルンベルク近郊の森で暮らし、数々の奇跡を行ったため信者が集まり、ニュルンベルクが巡礼地として発展した──という伝説があるらしい。

それで聖セバルドゥスはニュルンベルクの守護聖人になったわけだが……基本的にこれはほぼ完全な作り話と考えられており、この聖ゼーバルト教会内部には聖セバルドゥスの遺骨が聖遺物として安置されているが、それも眉唾物だそうだ。

とはいえ、これが安置されているペーター・フィッシャー作の「聖セバルドゥスの墓」は本当に素晴らしいので、是非ご覧頂きたい!!

ちなみに本教会は16世紀の宗教改革の際にルター派である福音派教会になったため、今日もなお福音派に属している。

また、第二次世界大戦の爆撃によって甚大なる被害を受けたが、現在は見事に復興を遂げている。

まずは美しい外観に注目!

旧市庁舎前から見た聖ゼーバルト教会。大きなカタツムリみたいに見える……

旧市庁舎側から見た、聖ゼーバルト教会の外観。荘厳なその外観に圧倒されるが、二本の尖塔と後ろの丸っこい感じがカタツムリみたいに見えてちょっとかわいい。

広場側から見た聖ゼーバルト教会
正面から見た、聖ゼーバルト教会。二本の尖塔が美しい。

この二本の美しい尖塔は、14世紀になってから追加されたもの。エメラルドグリーンの屋根の色がいいアクセントになっている。

いざ、教会内部へ!

幻想的な光の入り方に感動……。

中に入ってすぐ、幻想的すぎる光景に目を奪われた。良い時間帯だったのだろうが、絵画か映画のワンシーンのような光の差し込み方に、しばしうっとりと見惚れてしまった。

ようやく我に返って、前方を見ると……

美しい聖ゼーバルト教会の内装

思わずため息が出るような、荘厳で美しい内装──。少しひんやりとした空気とゴシック教会特有のなんとも言えぬいい匂いがまたこの幻想的な雰囲気を高めてくれる。

偉大な音楽家と聖ゼーバルト教会

立派なパイプオルガン

すぐに、巨大なパイプオルガンが目に入る。この日は特に演奏はなかったが、ふらっと訪れると礼拝や演奏会以外でもこのオルガンの値を耳にすることができる。この立派な見た目にふさわしい、荘厳で美しい音色を奏でる。

なおこの教会、私たち無鉄砲姉妹にとってある特別な存在である。というのも、皆さんも「パッヘルベルのカノン」はよくご存じではないだろうか。だがもしタイトルは知らなくとも、この曲自体はたぶん誰もが一度は聞いたことがあるだろう。

あまりにも有名なこのメロディだが、この曲に使用されたコード進行は「カノン進行」と呼ばれ、耳なじみの良い万能コードということで、ミュージシャンのなかでは「カノン進行」を使うと曲がヒットすると言われているほど。

ちなみに、「カノン進行」が使われているヒット曲は数知れず、J-POPだと古いものでは山下達郎の「クリスマス・イブ」、GLAYの「HOWEVER」、スピッツの「チェリー」、SMAPの「世界に1つだけの花」など、比較的最近の曲ならあいみょんの「マリーゴールド」、Official髭男dismの「Pretender」などなどなど……。

つまり、音楽の世界ではめちゃくちゃ有名かつ重要な名曲だ!そんな「カノン」の作曲家であるヨハン・パッヘルベル(Johann Pachelbel)はなんとこのニュルンベルクの出身!!

それどころか、彼はこの聖ゼーバルト教会でオルガン奏者もしており、彼にとってこの聖ゼーバルト教会はとても重要な場所だったらしい。

私たち無鉄砲姉妹はこのパッヘルベルのカノンがもともとすごく好きだったのだが、ニュルンベルクに来て初めて、彼がニュルンベルクの出身だと知り、めちゃくちゃテンションが上がったことは言うまでもない。

なお、「パッヘルベルのカノン」はもちろん大好きな曲だが、個人的に「シャコンヌ ヘ短調」がものすごく好きだ。この曲がもっと有名になってほしい……

ただ、聖ゼーバルト教会にも、特にパッヘルベル関連の紹介があるわけではない。(物販のあたりにCDはあったけれど……)

こんなに素晴らしい名曲を生み出した偉大な音楽家なのだから、もっと「あのパッヘルベルはこのニュルンベルクで生まれ、ここでオルガンを弾いていたんだぞ!」とアピールしていいのではないか……!?

ニュルンベルク出身の有名人というとデューラーがあまりに有名すぎてこちらばかり注目されがちだが、時にはパッヘルベルにも脚光を浴びさせてあげてほしいと思う、デューラーLOVEな無鉄砲姉妹なのだった。

(ちなみにニュルンベルク出身で意外な有名人はほかにもハリウッド女優のサンドラ・ブロックがいたりする。12歳までニュルンベルクに住んでいたので、彼女はドイツ語が話せるらしい)

→「ニュルンベルクの聖ゼーバルト教会を見学!②」に続く。