前回に引き続き、のんびりと旧市街地の「端っこ」を散策!
ウンシュリット広場から気の向くままに歩いていると、なんともおしゃれな壁にぶつかった。
旧市街地を囲む、壁。まさにこれが、市壁!!
なんだろう、ただの壁なのに、めちゃくちゃ素敵だ。
薔薇の木があるから、というのもあるだろうが、市壁の石の風合いなどがものすごく雰囲気があって最高だ。
この市壁沿いにある建物たちも、これぞおとぎの国! って感じの可愛い木組みの家が多く、こうしてただ歩いているだけでもメルヘンチックな気分になってしまう。
不意に、この小さなドアからドイツ中世の町娘が飛び出してきそうじゃないか。
このモノトーンっぽい色合いも、すごくいい。
ここにも普通に人が住んでいるのだろうか……?
高く、重厚な市壁の上に見える青空が、眩しい。
そのままさらに進んでいくと、市壁の出入り口を見つけた。
扉は開け放たれていて、外には鮮やかな緑が見える。
青々としたその緑色に誘われて、市壁の外へと出てみると……
これまた、おとぎの世界のような風景が。
この建物、雰囲気がありすぎる。
魔女のおばあさんでも出てきそうだ。
こっちのには、ドアに♡が書かれている。
なんだか可愛いな。
そのまま、市壁の外周を進んでいくと……
な、なんだこれ!?
メルヘンの世界に現れたなんとなく幾何学的な存在に一瞬驚いたが、どうやら滑り台らしい。市壁の外周には、このような遊具も散見される。
そしてこんなものも……!
なんと、ペットの排泄物を捨てるの専用のごみ箱が!
しかもご丁寧にもそれ専用の袋まで……!
ドイツはしばしば「犬天国」と呼ばれるが、その分、飼い主のマナーの徹底が求められているそうだ。
そんな飼い主のマナー向上のために、ニュルンベルク市としても、しっかりサポートしているらしい。いやあ、すごいなあ!
さらに歩くと、もう一つ遊具を発見。
これはブランコ……なのだろうか。なんだか、面白い形だ。
少し遊んでみたくなったが、なんとか堪えてその場を立ち去った。
さて、少し歩き疲れたので旧市街地の中心部に戻ろうとしていたら、こんなものを発見!
普通の人は、特に気にならないかもしれない。
しかし、コスモは違う! この顔、間違いない。これは……ヴィリバルト・ピルクハイマー(Willibald Pirckheimer)だっ!!
いや、誰だよっ! という方のために、ごく簡単に説明を。
ヴィリバルト・ピルクハイマー(1470-1530)は高名な人文主義者でニュルンベルク市参事会員でもあり、そして我らがデューラーの親友だった。
ピルクハイマーはいわゆる「都市貴族」と呼ばれる存在で、本当の貴族ではないが、非常に裕福な家門で市政にも直接携わることができる、都市においてとても高い身分にあった。
そんな彼と、都市貴族でもなく職人の息子にすぎないデューラーは、しかし本当に仲の良い親友だった。
彼らが交わした手紙が今も残っているのだが、それを読むと、互いに軽口を叩き合いながら楽しそうにやりとりしていた様子を知ることができる。
しかし、こうしてピルクハイマーの彫刻があるということは……と、このモニュメントの逆側に回ってみると──。
あった!
私たち姉妹の予想通り、モニュメントの逆側には我らがアルブレヒト・デューラーの横顔が!!
……なんだか素敵だなあ。
このニュルンベルクの街を代表する芸術家と人文主義者の親友コンビが、こうして今もこのニュルンベルクの旧市街地を見守ってるのか……。
ニュルンベルクオタクな私たちは、このモニュメントひとつで遠い500年前のニュルンベルクの親友たちを思いながら、幸せな気分に浸るのだった。