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「白と黄色」ではない⁉ ヴァイスゲルバーガッセは「白皮なめし職人」の小路!

翌日も、勉強の合間の息抜きとして、旧市街地散策へ。

普段は特に目的地も決めず、わりと適当に散歩してばかりの無鉄砲姉妹だが、今日は違う!

実は日本にいるころから行きたかった、でもなぜかまだ行っていなかったある場所へいよいよ行くのだ!

その場所こそ、ヴァイスゲルバーガッセ(Weißgerbergasse)だ!!

とにもかくにも、ひとまずその美しさをご覧いただきたい。

いやいやいや……

美しすぎるでしょうがっ!!

そんな変なツッコミすらいれたくなるのがここ、ヴァイスゲルバーガッセだ。

実は無鉄砲姉妹、最初に「ヴァイスゲルバーガッセ」の写真をネットで見たとき、ニュルンベルクだとは全く知らずに「なんて素敵な場所なんだ!」とめちゃくちゃ憧れたのだ。

で、いったいどこなんだろうと画像検索をかけたところ、まさかの「ニュルンベルク」!!

当時既にニュルンベルクの中世史を研究したいと思っていたコスモは、ものすごーくテンションが上がり、「いつかドイツに行ったら、絶対にここに行く! そしてたくさん写真を撮る!」と決めていたのだ。

そんなわけで無鉄砲姉妹の憧れの場所だったヴァイスゲルバーガッセ。

実はケッテンシュテークからもかなり近いので、行こうと思えばすぐ行けたのだが、なんだかもったいなくて逆になかなか行けなかった。

ふたりとも、好きなおかずは最後に残しておくタイプである。

しかしこの日は、朝から輝くばかりの大晴天!!

ということで、「今日こそ、そのときだ!」と、よくわからないが強く決意してこの場に至ったのである。

まあ期待が高まりすぎると、予想が想像を超えなくてがっかりすることもあるから、そんなに期待せずに行こうと思っていたわけだが──。

──想像以上だった。

もう、素敵すぎである。

木組みの家というだけで私たちのドンピシャ好みだが、それがこんな風に小さな通りに可愛らしく並んでいるなど、反則だ。

そんなわけで、このおとぎの世界のような素敵な景色を存分に堪能させていただいたわけだが、興奮が少しおさまってくると、いろいろと好奇心が湧いてくる。

それでふと気になったのが、その名前だ。

ヴァイスゲルバーガッセ、というから、白い(Weiß)なにかの小路(Gasse)なんだろうなあと思い、ネットで検索をかけると、なぜか「ヴァイスゲルバー」は「白と黄色」という意味だと出てくる。

木組みの家が白と黄色だから、みたいな説明をいくつか見つけた。

見回すと確かに、白と黄色のもあるにはある。

白と……黄色?

だが、やはり納得がいかない。

だって、赤と白も、茶色と白も、深緑と白もあるじゃないか……!

そもそも、ドイツ語で黄色って「gelb」のはずだ。

ついさっきも、テキストブックで見たから、間違いない。

だが、Weißgerbergasseの「ゲルプ」は「gerb」である。

なにかがおかしい……

ってことで、gerbで辞書を引くと、「gerben」と「Gerber」というのがヒット。

その意味は……「(動物の皮を)なめす」「皮なめし工」

──これだ!!

というわけで、検索の方法を変えてみて、「Weißgerbergasse」と「白皮なめし、革なめし」「ニュルンベルク」などで調べると、こちらでもちゃんとヒット!!

どうやら、誰かが間違ってゲルバーを「黄色」と訳してしまったのが、そのまま広まってしまったのだろう。

さらに調べると、どうやらこの辺りは中世の頃「白皮なめし職人」たちが住んでいたようで、そこから名前が付いたらしい。

白皮なめしは、動物の皮をミョウバンを用いて白くすることで、上質で明るい色の革になるらしい。それで白皮なめし職人たちはなかなかのお金持ちだったとか。

だからこそ、こんなに美しい家々を建てられたのだろうなあ。

ちなみにここは、第二次世界大戦におけるニュルンベルクへの激しい空襲による被害を奇跡的に免れた歴史的な場所でもある。

この小路には、22軒の古い家々がかつてのままの姿で残っているとのことだが、戦争によって破壊されていなければこんな美しい光景がもっとたくさんこの街に残っていたのだと思うと、何とも言えない気持ちになってしまう。

いずれにせよ、こうして奇跡的に残ったこの素晴らしい通りは、この街の美しい記念碑的存在としてこれからもずっと大切に守られてほしいなと思う、無鉄砲姉妹だった。

beide:
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